「バルカンのタンクを世田谷ベース風につや消しで塗装したい。下地処理ってどこまでやれば長持ちするん?」
これ、DIY塗装に手を出すバイク乗りなら一度は気になる話やと思う。
結論から先に言うとくと、
- イサムエアーウレタンのAFベース色(つや消しブルーグレー)でバルカン VN400 のタンクを世田谷ベース風に塗装した主要工程の記録(2017年4月・ノーマルタンク)
- その後 2018年7月に FRP製ハイマウントスポーツスタータンクへ換装、同じ AFベース色+下地処理手法を再適用
- 下地処理(スコッチブライト足付け + ミッチャクロン + 油分除去)を手抜きしなかった結果、2タンクとも塗装ヘタリ無しで長期使用に耐えた
- 譲渡後も同じバルカン(スポスタタンク仕様のまま)を譲渡先の知人が乗り続けてくれている(口頭で現役確認)
- うまくいかなかった応用(サビ塗装エイジング)も全部開示・剥離してシンプル仕上げに戻した
- 「下地が9割」のセオリーは、ノーマルタンク+スポスタタンク両方への適用と長期運用で裏付けが取れている
2017年4月にノーマルタンクへ AFベース色塗装 → 2018年7月にスポスタタンクへ換装+同手法で再塗装 → 2019年9月に 知人へ譲渡。譲渡先で現在も同じバルカン(スポスタタンク仕様)が現役で乗られていることを、自分が知人と直接連絡を取って確認済みです(最新確認:2026年5月)。
※ 本記事に掲載する譲渡先バルカンの写真は、自分が手放す直前の 2019 年 4 月に撮影したものです(=この時点では既にスポスタタンクへ換装済)。それ以降の現役状態は知人本人の口頭証言ベース(写真は本記事用に新規撮影していません)。記事中で「現物写真」と「譲渡後の現役証言」を分けて開示します。

譲渡直前2019年の状態と知人の現役証言:下地処理の威力
まず先に「自分が手放す直前のバルカン」を見てもらう。

これは 2019年4月、バルカンを知人へ譲渡する直前 に撮影した現物写真。写真のタンクは 2018年7月に換装した FRP製ハイマウントスポーツスタータンク(詳細は後述 H2-8)で、本記事で扱うノーマルタンク塗装と 同じ AFベース色+下地処理手法を再適用したもの。剥がれ・浮き・変色なし。
その後、このバルカン VN400 はスポスタタンク仕様のまま譲渡先の知人へ。2026年5月時点で知人と直接連絡を取った結果、同じバルカンを今も乗り続けてくれている ことが確認できた。タンクの仕上がりも当時のまま現役、というのが本人からの口頭証言(最新の現物写真は本記事用に新規撮影していません)。
つや消しウレタンスプレーは「すぐ剥がれる」とか「2〜3年でハゲる」と言われがちやけど、同じ下地処理3点セット(足付け→脱脂→ミッチャクロン)をノーマルタンクとスポスタタンクの両方で施した結果、どちらも長期もった。そして譲渡後も口頭ベースで現役確認が取れている。これが「下地が9割」のセオリーの実例です。
本記事は当時のノーマルタンク塗装の主要工程と、その後の運用結果(スポスタタンクへの応用含む)を記録しています。
使用したスプレー:イサムエアーウレタン AFベース色
使ったスプレーはこれ一本。
イサム塗料の 2液アクリルウレタン樹脂塗料「エアーウレタン AFベース色」315ml。つや消しのブルーグレーで、なんとなく「世田谷ベース調」のミリタリー感あるカラーリングに仕上がる。
- 容量: 315ml(バイクのタンク1本分なら2本買って余裕を持つのが安全)
- タイプ: 2液アクリルウレタン(混合後は使いきり)
- 硬化乾燥: 78時間(気温20℃・湿度65%)
- 塗り重ね: 10〜20分後
2017年当時、自分は「色味の実物がよう分からん」状態で人柱として塗装しに行った。検索しても屋外での仕上がり例がほぼ出てこなかったので、自分の塗装がそのままサンプル代わりになる、というつもりで吹き付けに入りました。
下地処理が9割:失敗回避の本質と長持ちさせる秘訣
2年経過時点で剥がれ・浮き・変色なし+譲渡先での現役運用、という結果から逆算すると、仕上がりの9割は下地処理で決まる。
逆に言うと、上塗りのウレタンスプレーは下地さえちゃんとできてれば「薄く何回かに分けて吹き付けるだけ」で十分。下地が雑だと、どんな高い塗料を吹いてもすぐ剥がれる。
これ、ヘルメットのキャンディ塗装でも同じセオリーで post 6258(ヘルメットのキャンディ塗装で失敗しないコツ) でも書いた通り。塗装DIY全般の本質やと思ってる。

ステップ1:スコッチブライトで足付け
まず最初に、3Mのスコッチブライト(不織布研磨パッド)で塗装面全体を軽くゴシゴシ。これで上塗り塗料が食いつく微細な凹凸を作る作業(=足付け)。
純正塗装はワックスかかってたりするのでツルツル。そのまま吹いても上塗りが食いつかへん。スコッチブライトでマット面に変えてあげる。
ステップ2:油分除去(脱脂)
足付け後、必ず油分除去(脱脂)をやる。手の脂・ワックス成分・ホコリを完全に飛ばす工程。
染めQから専用の脱脂クリーナーが出てるので、これを使えば確実。
シリコンオフ系の脱脂剤でも代用可。ホームセンターでも手に入る。
この工程を飛ばすと、ミッチャクロンの効きが半減する。post 6258 のヘルメット塗装でも「ミッチャクロン使う前の油分除去」が一番の失敗回避ポイントやと書いた通り。
ステップ3:ミッチャクロン(マルチプライマー)
下地処理の本命がこれ。染めQテクノロジィのミッチャクロン マルチ。
足付け後の脱脂済タンクに、ミッチャクロンを軽く全体に吹き付ける。透明なので塗ったか塗ってないか見えにくいけど、これがあるとないとで上塗りの食いつきが段違い。
金属・樹脂・FRP どんな素材にも食いつく万能プライマー。バルカンのタンク以外にも、後で出てくるFRP製スポーツスタータンクへの塗装でも同じく使った。
ミッチャクロンの詳細は親記事の post 1879(ミッチャクロン完全ガイド) も参照してください。
バルカン VN400 タンク取り外し手順
下地処理の方針が固まったら、実際の作業へ。まずタンクを外す。

シートを外してタンクはボルト2本で固定されてる。下側はボルト1本、上側はメーター裏に隠れてる固定ボルトを外せばOK。

下側の固定ボルトを外して、

メーター固定ボルトを外して、

メーターケーブルとカプラー2つを外すとメーターが分離。その奥にタンク固定ボルトが現れる。あとは上に持ち上げれば抜ける。

純正のエンブレム類は後で使うかもしれないので丁寧に剥がしておく。カワサキで純正エンブレムを部品で買うと 1個4,000円以上 するので、再利用の可能性を考えると剥がし方は慎重に。

エンブレム類を剥がし、給油口など塗りたくない箇所をマスキング。

簡易の塗装ブースは椅子を2個並べただけ。屋外の納屋スペース。換気と防毒マスクは必須。
AFベース色 ウレタンスプレー吹き付け工程
※ 再掲注意: 2液ウレタン塗料の吹き付け作業は 有機溶剤用防毒マスク+換気+火気厳禁+第三者退避 が必須です。詳しくは前述 H2-2 の注意ボックスを必ず確認してください。
下地(足付け→脱脂→ミッチャクロン)が終わったら、いよいよAFベース色を吹き付ける。

2液タイプは使いきりなので、混合後は残せない。念のため2本準備しておくと安心。

軽くサッと吹き付けて、しばらく放置 → 薄く何回かに分けて重ね吹き。これが「つや消しのウレタン」の正しい使い方。
ウレタン塗装でよくある「2回目で一気に垂れる寸前まで吹く」のは、つや有りで使う方法。つや消しは薄く何回かが正解。

使い切りスプレーなので、残さないように何度も重ね吹き。最終的に1本まるごと使い切った。

塗装後30分くらいの状態。電球下で撮影なので実際のカラーは判別しにくいけど、ブルーよりグレーが強めに見える。
吹き付け中、付着した虫2匹は 慎重に取り除いておきました(虫を入れたまま乾燥させると凸凹になる)。
裏面はほぼ吹かなかったので(取り付けたら見えない箇所)、315ml スプレー1本で表面と側面すべて吹き終わり。
ノーマルタンク取り付け完成と譲渡直前の現物検証
本来イサムエアーウレタンの完全硬化は 78時間(3日間)。が、現実問題そんなに放置する場所も時間もなかった。
乾燥時間
- 初期乾燥30分
- 初期硬化乾燥60分
- 硬化乾燥78時間(気温20℃・湿度65%)
- 塗り重ねは10〜20分後
翌日のお昼頃、実質吹き付けから 約14時間 で塗装面に当てないように慎重に取り付けた。

これがノーマルカラーだったバルカン。

塗装後、無事タンクを取り付け。

バルカン VN400 世田谷ベース調つや消し塗装 完成。あとはエンブレムを付け直すか、ステンシルを入れるか、しばらく乗ってから決めることに。

下地処理を丁寧にやった分、上塗り吹き付けは慣れた工程だけで仕上がり良好。マスキングが甘くて給油口の縁に元の赤が残ってしまったのが唯一の失敗箇所。まぁ見えない箇所なので。

譲渡直前2019年4月の状態(スポスタタンク・同手法再塗装後)

譲渡直前の2019年4月。写真のタンクは 2018年7月に換装した FRP製ハイマウントスポーツスタータンクで、本記事のノーマルタンクと 同じ AFベース色+下地処理3点セット を再適用したもの。剥がれ・浮き・変色なし。これが本記事で示せる現物写真の最新時点。
譲渡後の運用については、知人本人からの口頭証言ベース(2026年5月時点で同じバルカンを乗り続けてくれている)。新規撮影写真は本記事用に用意していないため、画像は2019年時点のもの、それ以降は証言ベースで分けて開示しています。
ノーマルタンクとスポスタタンクの両方で下地処理を手抜きせずにスコッチブライト→脱脂→ミッチャクロン→AFベース色 を踏んだ結果、どちらも長期使用に耐えた、というのが事実。「下地が9割」の実例として参考にしてください。

完成後のバルカン VN400 世田谷ベース調仕様
タンクが世田谷ベース風つや消しブルーグレーで完成。前後フェンダーは半つや消し黒のエナメル塗装で揃えて、ボバー寄りのストリート仕様に。
フェンダー塗装の詳細は下記の関連記事に。
バルカン リアフェンダー塗装とウィンカー交換|VN400 ・ エナメルスプレーexceed つや消し黒(塗料テスト編)
タンク塗装後の落とし穴:キャブトラブル
塗装作業自体は完了。が、最後にしょうもない落とし穴が待っていた。
塗装のために実家の納屋まで100kmほど走って行ったので、帰宅も100km走行。タンクを取り付けて10分ほど走ったあたりで…
「ん、なんかエンジンの調子悪い」
「ん、エンジン止まりそう…」
信号待ちの最中に エンジン停止。セルを回すも再始動困難。
原因はおそらく タンクを外して再装着した際に、ガソリン経路にゴミやサビが入り込んでキャブが詰まった ってこと。
こういうのを防ぐには、タンクを外す前に PEA配合の燃料添加剤 でキャブ清浄をしておくのが効く。詳しくは下記の親記事へ。
その他のパーツへの応用と派生
このAFベース色+下地処理のセットは、ノーマルタンクだけじゃなく、後で買い足した社外パーツにも応用が利く。
派生①:FRP製ハイマウントスポーツスタータンクへの応用
2018年7月、バルカンに FRP製ハイマウントスポーツスタータンク(ガレージT&Fさん製と思われる)を取り付けた。このタンクにも同じAFベース色塗装手法を適用。
FRP素材でもミッチャクロンが食いつくので、下地処理は同じセオリーで通る。詳しい換装手順は下記。
派生②:フェンダー塗装(つや消し黒・ボバー仕上げ)
タンク以外にも、リアフェンダーをつや消し黒でエナメル塗装してボバー風に仕上げた。塗料テストから本番までの記録は下記。
その後、譲渡先で ポン付けフラットフェンダー+ラウンドテールランプ にカスタムされたと聞いている(譲渡前の旧フェンダー塗装の参照記事は上記)。
やってはいけないこと:サビ塗装エイジングの落とし穴
これは反省点として正直に開示する。
2017年11月、世田谷ベース風タンクが「キレイすぎて落ち着かん」と思って、サビ塗装エイジングを試した。キャンディタワーのラスティブラウンという水性サビ塗料を、スポンジでポンポン叩いて乗せていく方法。
結果から言うと、やりすぎた。
「ちょいサビ」狙いが「サビまくり」に成りすぎて違和感。原因は ベースのウレタン塗装がフラットすぎて、上に乗せたサビ塗料との凹凸感のミスマッチが目立った こと。
結局、水性のサビ塗料は除光液で落とせるので、思い切って全部剥離。AFベース色のシンプル仕上げに戻した。その剥離記録が下記。
サビ塗装やりたい人へのアドバイス:
- 「ちょいサビ」狙いなら本気で薄めに止める(後から足すのは簡単・引くのは大変)
- ベース塗装がフラット過ぎる場合はサビ塗料が浮く。質感のミスマッチを意識する
- 水性サビ塗料なら除光液で剥離可能。やり直しは効くので恐れず試せる
- ベース塗装がウレタン(耐ガソリン・耐除光液)の場合は剥離もリカバリ可
まとめ|DIY 世田谷ベース風 タンク塗装の事前チェックと結論
やる前に確認しておきたいこと
- 作業場所:換気の効く屋外 or 塗装ブース(マンション屋内・換気の効かない場所は健康被害リスクあり)
- 安全装備:有機溶剤用防毒マスク(吸収缶式)・火気厳禁・第三者退避
- 時間:薄く重ね吹きで仕上げるので最低半日〜1日確保(完全硬化は78時間)
- 道具:イサム AFベース色 1〜2本/ミッチャクロン/スコッチブライト/脱脂剤/マスキングテープ
- パーツの状態:エンブレム剥がしの可否・既存塗装の状態を事前確認
失敗しないためのコツ(自分の経験から)
- 下地処理3点セット(足付け→脱脂→ミッチャクロン)は手を抜かない。ここで時間を惜しむと、上塗りに何使っても剥がれる
- 2液ウレタンは「薄く重ね吹き」。一気に厚塗りすると垂れる・乾燥ムラの原因
- マスキングは念入りに。給油口の縁など、見えない箇所でも雑だと自分のテンションが下がる(自分は給油口縁の塗り残しで反省済み)
- サビ塗装エイジング応用は「ちょいサビ」が難しい。ベース塗装がフラットすぎると凹凸感のミスマッチが出る(後述)
譲渡後も現役と聞いて改めて思う自分の結論
2017年に塗装したバルカン VN400 の世田谷ベース風タンクは、2019年9月に知人へ譲渡。譲渡先で現在も同じバルカンが現役で乗られている(2026年5月時点・知人本人と直接連絡を取って口頭確認・新規写真撮影なし)。
つや消しウレタンスプレーの DIY 塗装を長持ちさせる条件は 「下地処理を9割と見なして丁寧にやるかどうか」。スコッチブライト・脱脂・ミッチャクロンの3点を手抜かなければ、上塗りは何でもいける。これが本記事で伝えたい一番のポイントです。
本記事で示せた現物証拠は「塗装後2年経過時点の写真」まで。その後の運用は口頭証言ベース。読者の判断材料はそこで線引きしてあるので、各自の DIY 計画の参考にしてもらえれば。














コメント