手に入れた時点で既に80000kmを超えた過走行車両だったベンリィ110です。
最初から気になっていて調整しようと思っていたけどズルズルと時期が過ぎていました。
そろそろ90000kmということもあり、やっとのことでバルブクリアランス調整。
よく考えれば、
すれ違う業務で使われているベンリィ50にしても110にしても結構タペットの音が聞こえてる車両が多い気がします。
業務で使われているバイクって、

駆動系、制動系、タイヤなど重要な部分はメンテナンスされてるけど、ちょっとした異音は放置されてることが多いのかな・・・。コスト面とのバランスかな?
確かにちょっとくらいバルブクリアランスが広くてカタカタと音が鳴っていたとしても、別に大丈夫と言えば大丈夫なことも多いからなんとも言えないんだけども・・・。
で、
結果を先にお伝えしておくと、

やった甲斐があって、ものすごく静かなエンジンに変わりました!
耳障りなカタカタ音が消えると本当にいいエンジンに見えてきます。
バルブクリアランス、タペット調整をする前に圧縮上死点に合わせる!
圧縮上死点と検索してもらえれば色々と情報が手に入ると思います。
基本的には、

この写真のように●と三角の切り欠きを合わせるだけです。
ここで問題点が1つ。
4ストロークの場合、
●と三角の切り欠きが合っている位置に合わせたとしても、
圧縮上死点と排気上死点が交互にやってきます。
複雑な話は置いておきますが、●と三角の切り欠きを合わせてあったとしても正解率は1/2です。
正解か不正解か?はヘッドカバーを開けた後に確認することにします。

ちなみにベンリィを触るのが初めてだったのでカバーごと開けましたが、カバーの上に点検窓があるのでゴムカバーを外して確認することももちろん可能です。
要するにエンジンが空気を吸って爆発させて廃棄してという一連の流れにおいて、
エンジンの爆発サイクルの1工程=●と切り欠きが2回重なる
1周目か2週目のどちらかが正解ということです。
バルブクリアランス調整
ベンリィの場合、足元のカバーを外せばヘッド周辺に簡単にアクセスできます。

プラグを外した状態で圧縮上死点を確認することもできますので、今回はプラグも外します。

プラグコードを抜いて、

プラグレンチでプラグを抜いていきます。
ベンリィの場合、プラグが少し斜めに入っており、ラチェットなどが入りにくいこともあるので長めのエクステンションなどがあれば作業が相当捗ります。

プラグ交換をするならこのタイミングで交換してもいいかと思います。
ただ、前回交換してからまだ数千キロほどで、まだ行けそうな感じだったということもあり、もう少しこのプラグには頑張ってもらうことに。

プラグを外したらエンジン真上から見たとして、外すべき箇所は4ヶ所。
この4ヶ所さえ外せばバルブ周辺にアクセスすることが可能です。
赤丸の左上側のホース、クランプの劣化でオイル滲みが見られたのでクランプを曲げてきつくして対応。
バルブ側から見る、圧縮上死点の確認方法の一つ
バルブ上で圧縮上死点か排気上死点か確認することができます。
プラグを外していない場合にはシリンダー内の圧縮が抜けませんのでこの方法は使えません。
先ほどの●と三角の切り欠きを合わせた状態でバルブを上から押してみます。
そうすると、
圧縮上死点にある場合は、クリアランスがあるのでカタカタと遊びがあるはずです。
万が一先ほど合わせた位置が排気上死点だった場合には、バルブは押されている状態にあるのでクリアランスが無いはずなので押してもカタカタということはありません。(圧縮漏れなど異常な場合は除く)

心配であれば、2周試してみてよりガタつきの多い方が圧縮上死点です。
ベンリィ110のバルブクリアランス規定値は?
サービスマニュアルを持っていないので、ホンダさんに電話をかけて確認をしました。
確認したところ、
IN側、OUT側共に規定値は「0.16」±0.02ということでした。

で、手持ちのシクネスゲージをチェックしてみたところ、調整に使えそうなのが0.15と0.20の2枚のみ・・・
持っていなければ一つ持っておいても損はないと思います。
今回使えるものがこの2枚。

ベンリィ110のバルブクリアランス(タペット)の規定値は
0.16±0.02ということなので、調整幅は0.14~0.18ということになります。
ので、

0.15は入るけど、0.20は全く入らないあたりに合わせていく
これで多分16~18くらいに収まるんじゃないかと。

ラジオペンチやモンキーと9mmのメガネなどで調整することも可能ですが、作業スペース的に狭いので、
このようなタペットレンチがあれば楽だと思います。
手元にラジオペンチ、9mmのメガネがあれば代用は可能です。がタペットレンチを使う方が調整は楽です。

IN、OUT側共に0.16±0.02なのでどちらも01.5は入るけど0.2は全く無理というクリアランスに調整してヘッドカバーを閉じていきます。
ヘッドカバーを戻し、プラグ、プラグコードを戻した状態でエンジンをかけてテストしておきました。

カバーが付いていないのでエンジンの音がよりはっきり聞こえる状態なんですが、とにかくアイドリング時などのカタカタ音が消え去ってとても静かなエンジン音になりました。
静かになったらなんとなく力強く聞こえてくるというか、エンジンの調子が良くなったように思えるわけで。

もともとタペット音が気になってたんだから早くやっときゃよかった!
という感想。
業務で使用されていたバイクって、重要な部分以外は手入れされていないことも多いからやっぱりタペット周りも放置だったんだと推測してます。
まとめ
ベンリィ110のバルブクリアランス(タペット)調整は、足元のカバーを外すだけで調整ができるのでとても簡単な方だと思います。
エンジンを開けるので大掛かりなイメージがあるかと思いますが、

想像してるより簡単な作業ですよ!
特に始動直後、アイドリング時にカタカタ聞こえていて、エンジンが暖まったらカタカタ音が減るような気がしてる場合にはバルブクリアランスが広がってるかも?
逆にクリアランスが狭すぎる場合などは冷間時の始動性が悪かったり、最悪圧縮が漏れてエンジンが掛からないとかそういう症状が出たりもする。
以前預かっていたことがあるエストレヤなんて、クリアランスの規定値下限と上限ギリギリで試したところ、冷間時の始動性は誰が乗っても違うと感じるレベルに変わってましたから。




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