我が家のベンリィ110は現在走行距離が約90000kmの超過走行車両です。
85000kmで手に入れた時に交換した駆動系の部品は、

ベルト、ウエイトローラーだけ。クラッチは放置してました。
ベルト、ウエイトローラーを交換してからは中間加速も問題なく、最高速も期待する辺りまでは出るようになっています。
ただ、
出足がとても遅い・・・。
過走行だしエンジンがヘタってるのかな〜?とか思ったりもしていたんですが、もしかしたらクラッチ周りを点検してみればわかるかも?
ということで、
センタースプリングがヘタっていれば、出足が遅くなる症状が出てもおかしくないし、センタースプリングを純正新品に交換してみることにしました。
スクーターのクラッチ側でも変速の調整ができる!
スクーターの最高速型や加速型という色付けはウエイトローラーで調整するのが一般的だと思います。

そこまでセッティングするほどのスクーターでは無いので、一般的な微調整の範囲内の話です。
加速型に振りたければ、ウエイトローラーを軽くする。最高速側に振りたければウエイトローラーを重くする。といった具合。
しかし、
実はクラッチ側でもこの部分を調整している箇所があります。
センタースプリングでクラッチのつながるタイミングが決まる!
つまり、
センタースプリングが硬ければ、高回転寄りでクラッチがつながることで出足が鋭くなる。逆に、柔らかいセンタースプリング(この場合はヘタったスプリングを想定してます)が入っていると、低い回転数でクラッチがつながってしまうことで出足が遅くなる。

もし、センタースプリングがヘタっているならば、改善の余地あり!
もともと、センタースタンドをかけてエンジンを始動した際に、リアタイヤは全く回らずなんとなく違和感はあるからクラッチ側をチェックしてみるのも意味あるかもな?
と思ったことも理由の一つです。
センタースプリングを交換しようと思ったもう一つの理由
センタースプリングがヘタっていれば、新品に交換することで出足の遅さが改善される可能性はあります。
実は、本当は段減りがあるプーリーも交換したいし、変えたい部分はいくらでもあります。
でも、
今回はセンタースプリングだけ。
理由はシンプルです。

強化とかにこだわらず純正のセンタースプリングだと安い!
実際、ベンリィ110の純正センタースプリングは1000円しないくらい。
見比べてもあまりよくわからないから変えとこうか?的な部品でもある。
ベンリィ110のセンタースプリングを交換していく
早速ベンリィ110のセンタースプリングを交換すべく駆動系をバラしていきます。

まずはお決まりのキックペダルを外す。
この次は、

アウターのカバーを外していきます。
後ろ側とあと前側のカバーも外していきます。

このあと、長めのエクステンションがあれば便利かと思いますが、

正面から確認できるボルトを外していくとパカッと外す事ができます。
全体像はこんな感じ。

今回は前側のプーリーではなく、後ろ側のクラッチを分解していきます。

ちなみに、自分で作業をせずにバイク屋さんで整備をお願いした場合には、前後とも同時に作業を進めるのが当たり前です。
今回は、単体での変化を見たいのでクラッチ側のみ。

クラッチアウターのでかいナットをインパクトで外していきます。
インパクトがなければツールが必要。
こんなやつです。
クラッチアウターを外すと、

クラッチが見えてきます。
クラッチアウターのダストが原因?
クラッチを外す前にクラッチのアウターをチェックしてみると驚愕の事実が判明。。。

クラッチのダストが油分とともにクラッチに接触する面全体にまるでヘドロのようにこびりついていました。
これだけ汚れが溜まっていれば良いわけがない。
出足が鈍かったのはクラッチがヘドロ化したダストで滑っていたので遅かったのかも?

きっちり油分のついたダスト汚れをきれいにしてからパーツクリーナーで洗浄しておきます。
ヘタっているセンタースプリングを確認していく!
クラッチアウターの汚れを取っただけでも体感できる走行の変化が感じられる気配です。
さらにセンタースプリングがヘタっていれば・・・と期待が高まります。

クラッチを分解してセンタースプリング、トルクカムにアクセスするためには39mmのナットを外す必要があります。
この辺りが一番手っ取り早く安いツールだと思います。

39mmでクラッチを外せばやっとセンタースプリングを確認する事ができます。
ヘタっていて欲しいセンタースプリングと新しいセンタースプリングを比較してみると・・・

抑えてみると硬さが違うような気もしますが、バネ自体のヘタリ具合はあまり良くわかりません。
でも、高さは数ミリ短くなっています。

新品と比較していなければウエイトローラーのように目視してヘタリが確認できるわけでは無いパーツなのでとりあえず交換しておいて損はなかったはず。
トルクカムも確認していく
センタースプリングもヘタっていた事だし、トルクカムも分解してグリスアップしていくことにします。

ベルトの当たり面が〜とか思ったりもしますが、今回は低予算でのメンテナンス。
見なかったことにします。

この中に本来グリスがあるはずですが、多分無い。むしろ高熱で液体のようになって外に飛び散ってクラッチのアウターについたはず。
やっぱりどう見ても油っ気はなし。

分解してトルクカムピンを抜いてさらに分解を進めると、

水っぽいというか油っ気はほぼ無し。
ということでグリスアップして少しでも動きがよくなるようにしておきます。

ガタがあるように感じたけど、とりあえずグリスアップのみで様子見

トルクカムピンにたっぷりとグリスを詰めていく。
そのあと馴染ませるように、

動作を確認しておきます。
やっぱりちょっとガタを感じるけども、ここは心を鬼にしてスルーします。

グリスアップ後、元通りに組み上げていって最後にクラッチと合体させます。

サービスマニュアルは持っていないので、クラッチ残量の目安は分かりません。
とにかく今回は再利用です。
残る作業は元通りに組み上げていくだけです。

完全に組み上げる前に確認しておきますが、問題なし。
今回の整備内容
クラッチ側を確認しようと思った原因となる症状は、
他のベンリィ110と乗り比べても明らかに出足が遅い!
という点。
ベルト、ウエイトローラーも新品にしてあるから、今回はクラッチ側を疑った。
確かに、センタースタンドをかけてエンジンを掛けた時に、リアタイヤが全く回る気配がないからちょっと何か変かもな?と疑っていた。(手でタイヤを回せばしばらく回るのでブレーキの引きずりやベアリングの劣化等では無いと想定してた。)
で、

今回行った作業は、
- クラッチアウターの清掃
- センタースプリング交換
- トルクカムの分解清掃、グリスアップ
といった感じになりました。
センタースプリング交換後試運転してみたところ
今までのベンリィ110だと、40kmまではノロノロと遅く、40kmを超えたあたりからなんとなく元気が出てくるという雰囲気でした。
今回センタースプリングを交換した結果、
出足の回転数が高くなったのが分かります。
その結果、
完全に整備前と整備後の出足が変わりました。
ヘタった純正のセンタースプリングから新品のセンタースプリングに変えただけですので、劇的に変化があるというほどではありませんが、これなら不満はないかなー。というくらいは変化があります。
あとは、
狙ったことではありませんが、

センタースタンドをかけてエンジンを回してみると、リアタイヤが少しだけ回るようになりました。
やっぱり何かが悪影響していたんでしょう。
多分クラッチアウターの汚れかな〜とか思ったりもしてますが、800円ちょいのメンテナンス費から考えれば十分価値のある整備となりました。
まとめ
センタースプリングの交換とクラッチ周辺の清掃でかなり出足の遅さに改善が見られました。
今回はヘタっているであろう純正のセンタースプリングから新品の純正センタースプリングへの交換でした。
ヘタったセンタースプリングから新品の純正センタースプリングに交換するだけで、クラッチのつながるタイミングが変わるので、出足は激変とまではいきませんが体感できるレベルで変化はありました。
出足が遅いからウエイトローラーを軽くする!
というだけでなくセンタースプリングを疑ってみても効果あるかもしれませんよ!



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